会社存続期間の定め
会社存続期間の定め
会社法471条には「株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。 定款で定めた存続期間の満了」という条文があります。
これは会社の存続期間を定款に記載する事ができる。その期間を経過すれば会社は解散する事を意味しています。
私が前職(商工会職員)の時にこの解散事例に遭遇して驚かされた経験があります。
概要を説明すると、ある会社が融資を申し込み、金融機関の融資担当者が当該会社の定款を読んだところ、「設立から50年で解散する」との記載があり、融資申し込み時点はまさに50年が満了する直前であった事が判明したのです。返済期間中に会社が解散するわけですから融資申し込みは当然に否決されました。
このケースでは現社長はそのような定款の記載を全く知らずにいたわけです。早速定款を変更して、さらに変更登記「会社継続の登記」を行ったと聞きました。
そして再度融資の申し込みを行ったわけです。
この取り決めに気づかずに存続期間を満了していたら会社は解散しているわけですから、解散の登記と清算人就任の登記をする事になります。
事業を継続するためには新たな法人設立の手続きを踏まねばなりません。ところが今回は50年経過直前でしたからまだ会社は存続しています。だからすぐに会社継続の登記をしたのです。存続期間も廃止しました。この方が、新たな会社設立の登記よりは楽で費用もかかりませんから。
このケースで感じた事は、不定期の継続的な業種業態でなぜ存続期間の取り決めがあったのでしょうか。という事です。
多分、会社を設立した先代社長が、子孫は会社を継がないだろう。だから自分の死後に子孫に迷惑をかけないように会社の解散までも考えていた。という事でしょうか?
現実は先代の予想とは異なり、後継者(娘婿)が育っていたので会社を消滅させる必要がなかった。したがって子孫に迷惑をかけた事になったわけです。
事実は小説より奇なり。という諺がありますが、このケースも当てはまるような気がします。人生はどこで何と遭遇するかわかりませんが、心構えだけはしておかないと「幸運を見過ごし不運を抱え込む」ことになりかねません。
ところで許認可が必要な職種であった場合、万一存続期間が満了してしまったら大変です。 満了と共に当該許認可は消滅しますね。 新たに法人設立となれば再度許認可申請をする事になるわけです。
当然に許認可要件を満たしていないと許認可がおりませんから大変ですね。
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